私が担当しているのは、車体部品を製造するためのプレス金型づくりのなかで、3次元CADを使って金型用のモデルを設計する仕事です。どういったデザインの部品を製造したいのかは、お客様から実際の製品データが送られてきます。ただし、それをそのままモデリングしても、高精度の製品を生み出す金型はできません。金属のプレス加工では、デフォーム(シワや面歪み)やスプリングバック(型によって決定される形状と実際に加工された製品の形状との誤差)といった問題が発生します。当社では、これらの問題をクリアした金型を設計するため、長年にわたって蓄積してきたノウハウと、コンピュータによる解析情報を活用した“見込み”をモデルづくりに反映させています。

私たちの金型を使って製造する車体部品は、ドアアウターやフェンダーといった外から見える部分を構成する外板部品です。中に隠れてしまう部品であれば、多少の歪み等は問題になりませんが、外板部品では少しの妥協も許されません。プレス加工独特の難しさがあるなかで、厳しい品質要求に応える金型を設計するのは容易なことではありません。それだけに、失敗はつきものと言え、仕事は試行錯誤の連続になります。
正直、大変に感じる時もあります。でも、自分の創造力やひらめきを使って、その難しさを乗り越えるモデルを設計。それをもとに製作した金型で加工された車体部品を組み込んだ自動車が走行しているのを見ると、たまらないやりがいを感じます。

製作する金型は、ミクロン単位の精度が求められる製品です。そのため、非接触三次元測定器を金型製作に活用しています。具体的には、高性能のカメラで金型を測り、そのデータをCADデータとリンクさせて精度の高い金型を製作するのですが、最終的には職人技が必要になってきます。非常にデリケートな作業になるので、時間もかかります。今後は、その部分でコンピュータの解析情報と非接触測定器のデータを連携させることでもモデリングの精度を高め、仕上げ時間の短縮に貢献したいと思っています。また、当社は中国に本社を置くBYDグループの一員ですので、技術者が海外に出張する機会も多く、語学等の勉強もしたいと思っています。